
はぁ~。来月から分娩係だ…実習から1年も期間が空いていて心配だな。



それは緊張しますね。私も不安と緊張で押し潰されそうになったことを思い出します。今日は少しでも不安や緊張が和らぐように『分娩係が始まる前の準備』についてお話します!!
この記事は、こんな新人助産師さんにおススメ!
・これから分娩係が始まる新人さん
・分娩係が始まる前に準備したい新人さん
My分娩台帳ー学びを可視化するツールを準備しよう
分娩介助に入るまでに『My分娩台帳』の作成をおススメします。
施設によっては、決まったフォーマットがあるかもしれません。
私がアドバンス助産師を新規申請した時のフォーマットのサンプルを以下にあげます。





アドバンス助産師申請時、100例以上の分娩介助記録を一度に書きだす作業は大変だったので、分娩介助が始まる前に準備することをおススメします。
私自身が分娩係が始まった約8年前は『アドバンス助産師』という認定自体がなかったので、このようなフォーマットは特にありませんでした。
そのため、ノートに分娩の振り返り記録を記入していました。


最近は、紙のノートから『Notion』というアプリに記録するようになりました。分娩記録ではありませんが…マネジメントに関する学びも記録に残しています。


〇をタップしても、この画面では詳細は見れません。実際のメモアプリ上でタップすると詳細情報にページが飛ぶ仕組みになっています。



大切なことは、自分なりに型を決めて振り返るツールを作っているといいと思います。
先輩のお産に参加しよう
『見学』ではなく、『参加』するという意識が大切だと思います。
学びや発見があるのは、『見学』<『参加』だと思っています。



ただの『見学』にならないためには、どうしたらいいですか?具体的な行動は…?
・直接介助者の動きや手に注目しながら、産婦さんに労いの言葉をかける(先輩の発言を真似するだけでもOK)
・陣痛間欠期は産婦さんの方をみて、『水分補給』・『汗を拭く』・『うちわで仰ぐ』
・分娩室の環境をみて、『部屋のBGM』・『部屋の明るさ』が適当か感じる
産婦さんにとって、『分娩は命がけ』ーそして、あなたは『助産師』です。
あなたの経験が少なくても、未熟でも…『助産師』として新人もベテランも関係ありません。
緊急時でも、新人さんが出来ることは沢山あります。例えば…
でも『見学』という意識では、緊急時に動けません。
だから、お産には『参加する』気持ちで挑みましょう。
そして、お産後に先輩に1つ質問するつもりで、先輩の技術を盗み見てください。
質問するという課題を自分に課すと、『ただ見て学ぶ』→『注意深く観る』に変化します。



先輩!○○の時、~という声掛けをしたのは、娩出力をコントロールするためですか?



膣壁の○○方向にテンションをかけると児頭下降が進んだ印象があったのですが、どうして○○方向にテンションをかけようと思ったのですか?産道の感覚を教えてください。



あれはね…
質問力の高い後輩設定ではありますが…(笑)
質問するという緊張感から、ただ漫然と見るだけという事態は防げます。
私は自分の分娩の振り返りのために、お産に入ってくれたスタッフに、必ず感想を尋ねます。先輩や産科Drには、助言や意見がないか聞くようにしています。そして、後輩にも感想を求めます。
どんな感想を持っても自由なのですが、「すごかったです。」とか漠然とした感想を言われるより、上記のような質問されると、嬉しくてお産の話をドンドンしてしまいます。
私自身、質問力がまだ未熟なので、後輩の『漠然とした感想』を『学び』に変えるような問いかけができていないのですが…対話の中で『学び』がたくさんあると思うので、新人さんも臆せず先輩とお産の話をしてほしいです。
先輩とお産の話をしよう



先輩『早剥』って経験したことありますか?
*早剥…常位胎盤早期剥離:正常位置に付着した胎盤(常位胎盤)が、胎児娩出以前に子宮壁から部分的または完全に剥離し、重篤な臨床像を呈する症候群
【医学書院 助産学講座6 助産診断・技術学Ⅱ〔1〕妊娠期 第6版 p.116】 より引用



あるよー。私が経験した事例はね…入院時、子宮口1㎝なのに…出血が多いのが気になっていたの。Drにエコーで見てもらったんだけど、明らかな胎盤後血腫はなかったの。だけど、モニターの波形がドンドン悪くなっていって、緊急帝王切開に切り替えようとしたら、急速に分娩が進行した事例があったな~。
と私は、よく先輩にこのような類の質問をしては、補いきれない自分の未熟な経験を埋める作業をしてきました。
これは、いまも現在進行形で行っています。私が意識して聞いている点は…
・その事例の違和感、助産師の勘として働いた部分はどこか
・その事例展開から得た教訓はなにか
・次に同じ症例が起きたら、まずどんな行動を起こすか
私は相当なビビりなので、「もし分娩係の時に○○起きたら、どうしよう」と不安になっていました。
珍しい症例や大変だった症例を経験したスタッフにできるだけ話を聞くようにしています。
そして「もし自分だったら、どう行動したか」と常に考えるようにしています。
「お産は怖い」と自分を戒める意味もあります。でも、ただ恐れているだけでは『母児の命』は守れません。そして、正しく恐れなくては『自分自身』も『ともに働く仲間』も守れないと考えています。
ただ、ここで注意したいのは、その経験をしたスタッフの話題に対する反応です。反応を見ながら、聞いていきます。
「大変でしたね~。」と声かけた後の反応です。
教訓として話してくれる場合もありますが、トラウマのように感じていて話したくない状況かもしれないので…
質問するスタッフの心理面に配慮して聞く必要があることも併せて覚えておいてください。



そして、この視点は『順調だったお産』でも『チームでベストで挑んだお産』でも応用できます!!
・なぜ上手くいったか
・上手くいった要因はなにか
・どんな症例なら、この症例で実施したことが生かせるか
という視点で先輩と話すと学びが深まると思います。
自分が分娩介助した事例で振り返ることは、もちろんですが…自分で経験できる事例や症例は限られています。
先輩とお産の話をするといことをおススメします。



職場の先輩に話聞きにくいな~まだ、気軽に聞ける関係性が築けていませんという新人さん。私で良ければ、TwitterのDMでも、ブログのコメント欄でもいいので『お産の話』してみませんか?
ファントーム(人体の模型や人形)で練習しよう



分娩係が始まる前に同期とよく練習したな~
イメージトレーニングをして、実際の分娩に備えるのは大切です。
この積み上げが自信になってくると思うので、分娩係に入るまでに練習しておくことおススメします。
実習時の分娩記録を見返そう
教科書よりも、実際に分娩介助を行う学びに勝るものはないと思っています。
ペーパーペイシェントでもOK!
事例展開から教科書に戻るという形で簡単に復習をすることをおススメします。



実習事例の復習を終えたけど…もっと学びたい時は…?
『The 分娩』



事例集が豊富で、この1冊で分娩期に関する知識や助産技術を体系的に学べる良書!!
『先輩助産師からのアドバイス』や『アセスメントのPoint』だけに焦点を絞って復習するだけでも、実力UP間違いなし。
私自身も分娩技術やケアのブラッシュアップのために購入し、事例集で勉強しています。
体調を整えよう
看護職として働く上での前提となりますが…新しい業務の前は緊張や不安から体調に影響が出やすいです。
疲れている時は…
・無理せず休む
・ストレスの解消方法を見つけ、それを実践する
少しだけ自信を持とう



自信がないから、先輩に相談したのに…



その気持ちは分かるけど…産婦さんの気持ちになってみよう!『不安』オーラをまとった助産師に自分と赤ちゃんの命を託せれるかな…?
『不安』があることで慢心せずに、産婦さんに謙虚な姿勢で対応できると思います。
そして、安全面でも、慎重になることも大切です。
ですが…産婦さんからみたら、私たちは同じ国家資格を有した『助産師』なのです。
助産実習や国家試験を乗り越えたという自信を持っていい!



母子の命を預かる分娩係なので、管理者も簡単に任せる訳にはいきません。あなたなら、分娩係を任せられると判断したということも頭の片隅に入れておいてね。
最後に
分娩係に入る前の準備として、1つでも役立つことをお伝えできていたら嬉しいです。
分娩係は緊張しますが、お産に携わる喜びは格別です。



緊張感が大きくなり続けられないという時は、無理をしないでくださいね。
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